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『そういえば先ほど、ケータイ鳴ってましたよ? 唯衣(ゆい)さんからでしたね』
「なんでそれを鳴った時に教えてくれないんだ」
『マグロ?』
「俺が悪かった」
ややこしくなる前に、俺から会話を切った。
ケータイを開いて確認すると、ネブラスカの言った通り、幼馴染である鹿島唯衣
(かじま ゆい)から着信履歴がきていた。その数十七回。
不意に画面端にある時計に目がいった。
「おいっ!! 八時二十五分じゃないかっ!!」
『そうですよ』
「『そうですよ』じゃねぇよ!! 時間教えろよ! ただでさえ海の中で時間がわからないってのに」
『今日はゆっくり行こうと考えているのかなぁ~と思いまして』
「学校に行く速度はいちいち変えないだろうが! ああヤバイ! 今年は遅刻し
すぎると退学って言われてるのにっ!!」
俺は急いで準備に取り掛かるため、部屋に走る。
「トライデントの用意をしておいてくれ。着弾地点は学校だ!」
『へ~~~い。でも、いいんですかぁ? 残り八発しかないんですよぉ~』
気の抜けた返事だが、今はそんなことを気にしている場合ではない。
着替えをぱぱっと済ませた俺は、発令所の後部にあるミサイル区画に走る。
目に最初に飛び込んできたのは、オレンジ色の太い円筒が左右に並んでいる光景だ。
それぞれの円筒にはメーターが設置されている。
これは本来、大陸間弾道ミサイルが入っており、海中から敵の重要都市を壊滅させるために存在している。
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