第二章

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 義光は伊予金子城(愛媛県新居浜市)に入り。付き従う手勢は城の周囲にて宿営する。  高尾城は平野から山が盛り上がろうとするところに建てられ。それにより南に山を従え、北に瀬戸内海をのぞむ。  城の南の山々は屏風のように切り立ち。猿でもない限り城の南から人は来そうになかった。  しかし、土佐勢は四国の険しい山々を越えて、雪崩を打つように伊予に攻め込んだ。  伊予の人々は鬼が山を越えて来たと驚いたが。伊予人らは鬼を追い払わんと激しく抵抗した。  が、太平洋の荒波が四国の山を越えるかと思わせるほどの怒涛の、鬼の如き土佐人の猛攻にねじ伏せられて。ついには伊予は長宗我部領に組み込まれるのやむなきにいたった。  この金子元宅もまた、勝てぬと観念して長宗我部の軍門にくだることになった。
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