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金子に入れば、丁重に案内されて大広間へゆき。元宅の言う通り宴の支度が整い。酒と瀬戸内海の幸がならべられていた。
そればかりが、若い侍女ふたりが床に指をつき深々と頭を垂れて、
「和田義光さま、おまちもうしておりました」
と丁寧に挨拶をし、穏やかな動作で立ち上がると、
「どうぞこちらへ」
と義光は上座に導かれ。
上座に腰かければ、侍女がその両脇に座り。両手に花であった。
「お口にあいますかどうか」
「いやいや、そなたらの真心、おろそかにはせぬ」
それから、飲めや食えや歌えやの大騒ぎで。戦のことを、このときばかりは忘れて、おおいに羽目を外したものだった。
さらに、ふたりの侍女で好みの方を選んで夜伽にし。
金子城での最初の一夜をおおいに楽しんだ義光であった。
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