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「違っ…」
言われて初めてマナミは気が付く。確かにユウラは苦手だ。それでも嫌いではない。
今日がバレンタインだと言うことも覚えていた。
「違う? 僕のことが嫌いなのでしょう?」
「あるって、用意したもの!」
熱があって気持ち悪い。用意していたチョコは机の引き出しだ。起き上がるタイミングを完全に逃していた。
「……なんだ。貰えないならこのままどうにかしそうだった」
ユウラがそんな呟きと口付けをマナミにくれた。マナミの体感温度は急上昇する。そんなユウラの優しさが嫌いなのだ。
ユウラがチョコの入った箱を取り出す。マナミはユウラが自分からしかチョコを貰わないことを知っている。
二人きりのときは、名前で呼びあう。
「ホワイトチョコですか。そう言えば、明日も雪になるそうですよ。雪も少しは甘くなるといいんですけれどね」
箱の中身を眺めたユウラが、嬉しそうにそう言った。
完
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