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「だって、喋るカチューシャなんて、他の人が見たら、私がおかしいとしか思われないでしょ?
もちろん、喋る腕輪もおかしいからね」
人型に戻ったキキは、腹部から何か小さな物を取り出し、ひかるに渡そうとする。
『確かにそうだな。では、これを装着してくれ。どちらかの耳の穴に挿入するだけでいい。
中で僅かに広がって、簡単には取れない仕組みだ。水に濡れても問題は無い』
ひかるは、キキが差し出した小さな円筒形の機械を受け取った。
「これ、取れなくならないの?」
『外すときは、元の大きさに戻るから問題ない』
その言葉を聞き、ひかるは恐る恐る右耳の中に、小さな機械を押し込んだ。
特に違和感はなく、聞こえが悪くなるようなこともなかった。
『どうだ?問題ないだろう?』
今度は、耳に直接響くような声が聞こえる。
左耳には何も聞こえなかったところを見ると、装着した機器に直接話しかけたのが解る。
「これなら、私が独り言を言ってるだけになるから問題ないわね」
『では、外出時は耳に直接話しかけることにしよう』
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