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「引きずり女に会ったんだ…」
男子生徒はさらに顔を青くして言う。
「引きずり女ぁ?!」
克哉は初めて聞く名前に思わず、聞き返した。
「しっ!声が大きいよ!引きずり女が聞いていたら、また廊下に現れる!!」
男子生徒は慌てて克哉の口を押さえる。
「ぐむむ…。悪かったよ。で、その引きずり女ってのは何者なんだ?」
克哉は男子生徒の、手をどかしながら答える。
十年前から怪談になっていること、廊下に現れては黒い渦に引きずり込んでいくことを男子生徒は、克哉に伝えた。
「最近、行方不明者が多発してるんだ。警察は、連続児童誘拐事件として捜査してるみたいだけど、俺は引きずり女のせいだと思う…」
引きずり女に聞こえないよう男子生徒は、そう囁いた。
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