1唱

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夏休みに入って2日目。 蝉もまだ鳴かない時間帯に、僕は家を出る。 朝食はご飯へ目玉焼きを乗せた物。 後は漬け物だな。 味噌汁は母さんが用意してくれていた。 昨日も遅かったんだろう。 まだ寝ている。 静かに朝食を済ませて、家を後に。 バス停まで歩く訳だが… 30分近くは歩く感じだね。 まぁ、僕が歩くのが遅いせいだけどさ。 父さんが出張じゃ無ければ、車に便乗出来たんだけど… 仕方無いよね。 バスが走る街道へ出るには何通りかの道がある。 団地のメインストリートを素直に下る方法。 歩道のみの裏道を下る方法だね。 此方の歩道は、出口は1つだけど道は3つある。 1つは川沿いの道。 川と言っても小川クラス。 でも、ハヤとかが泳ぐ、そこそこ綺麗な川さ。 翡翠だって居るんだよ。 次は、丘を登る道ね。 此方は墓場を経由する道。 小学校の時は、肝試ししたものさ。 まぁ、この道を使う人は、あまり居ないね。 そして、川沿いの道と墓場への道の間にある道。 丘の中腹。 林の中の道だね。 実は、あまり皆に知られて無い道なんだ。 僕が好んで使う道さ。 林の中を通る感じが好きなんだよ。 今言った道は、団地の端を通る道。 裏道だね。 普通の人は、舗装された普通の道を通るものさ。 でも、それじゃ面白く無いでしょ。 それに暫くは、この街から離れるしね。 まぁ離れるっても、埼玉の叔母の家に遊びに行くんだけどね。 林の中の道を進むと下り道に。 やがて川沿いの道へと合流。 っても、石垣の上から飛び降りるんだけどね。 上の入り口も、溝を歩いて移動。 途中で道が現れるのさ。 まさに、隠し道ってね。 気付いた人しか知らない道なのさ。 そして川沿い道を移動すると、お寺の境内に。 そこを横切って移動すると自動車が普通に走る道だね。 歩道はあるけど落ち着かない。 小さな街だけど、スーパーが5軒、ホームセンターや家電量販店だってある。 コンビニだってありますよ。 山奥の団地だから、電車は通って無いけどね。 郵便局と市役所の間辺りにあるバス停へと辿り着く。 バスは暫く来ないな。 僕は仕方なく、ベンチに腰掛けて待つ事に。 早くバス、来ないかなぁ。
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