1唱

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この時間、バスの本数は多く無い。 20分に一本とか、30分に一本だね。 乗り逃したりしたら最悪さ。 だから、大人しく待つよ。 鞄から文庫本を引っ張り出して読む。 新刊を数冊用意してあるんだ。 それで時間潰しだね。 っと。 ようやくバスが来たよ。 乗車券を発券機から取り乗車。 車内の乗客は疎らだね。 スカスカの車内を移動して座る。 乗車券の番号から支払う料金が分かるシステムだ。 乗車料金が一律なんて場所がある様だけど、羨ましい限りだね。 まぁ僕は定期券を持っているから関係無いけどさ。 バスが走り出し、窓の外に見える景色が流れ出す。 街道って言い方をしたけど… 建物が左右に無い場所もある田舎町。 今は建物が消えて、右に川、左は林下の歩道が車道より数メートル上にある感じだね。 自然は適度に豊かってね。 いや。 それが田舎の証拠と言われたら、その通りなんだけどさ。 暫くバスが走ると、左右に建物。 そして、ゴルフの打ちっ放しを左に。 左下に川が。 トンネルがあり、そこを越えると建物が消える。 山奥の温泉街へ向かう様な渓谷沿いの道。 曲がりクネった道をバスは進む。 下の街からバスに乗った友人は、何処に連れて行かれるのかとドキドキしたそうな。 トンネルを抜けたら住宅街でビックリしたってさ。 そんな渓谷沿いの道を進み、トンネルを抜けた。 途中で川は左から右へ。 川幅も広くなり渓谷からも抜けた。 山下の街へとバスはたどり着いた。 造船と海軍…いや、海上自衛隊の街。 有名な歌手の出身地でもある。 お金と言う歌を歌い、街のメインストリートが百メートルって… まぁ、寂れた田舎町には変わりない。 ただ、僕の街よりは遥かに都会。 電車も通り、野球場や陸上競技場に体育館。 市役所や噴水のある公園。 美術館、図書館、ミュージアム、記念館などなど。 飲食店や居酒屋、スナックなどもね。 まぁ… 新幹線の駅がある街に比べたら、遥かに田舎だけどさ。 その新幹線が停まる駅がある街も、東京、大阪、名古屋などから比べたら、ド田舎。 これから向かう埼玉へは、東京経由。 僕、絶対にお登りさんしそうだね。 絡まれたりしないか、不安だよ。
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