1唱

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気に入った服が、なかなか無いよ。 いや、あるんだけどさぁ… サイズがね。 デブには厳しい、世の中だよね。 んっ? なんか… 堅気じゃ無さそうな方とすれ違ったんだけど… いや… 流石は東京だよね。 薄い感じだけど、紫色の背広にベージュのシャツ。 帽子も背広とお揃いっとね。 ネクタイは朱なんだね。 あまりに強烈な身なりに、つい見ちゃったけど… 危ないから直ぐに視線は外したよ。 母さん… ヤッパリ、東京って怖い所かも… ストライプのシャツに黒のベストを着た集団が、危ない人と一緒に… 明らかにグループだね。 ヤクザとかチーマって人達かな。 関わったら事だ。 行こう、行こ… ツッ! なんか… 今。 目が合った様な… ヤバい。 なんか、ヤバい! 狩られる? コレは絡んで来るヤツ特有の雰囲気だ。 地元なら連れもいるし、土地勘もある。 だから逃げ切ったり撃退も可能だ。 けど… 此処は駄目だ。 1人だし、土地勘が無い。 奴らの仲間が、どれだけ居るのかも不明。 近くに交番は無い。 警察の姿も… 直ぐに、近くの店へと入る。 店内を移動。 隠れる場所は無いか。 でも、店員さんの前で、変な事はしないだろう。 そう思い、服を見る。 あれっ? 通路に… アイツら!? 反対側もっ!? 後ろはレジで店員が居る。 この状態なら… 「あっ!  今日はどうされたんです?」 知り合いかよっ! 店員がヤツらへ声を。 ヤケにフレンドリー。 僕…終わったお知らせ? 嬉しく無いよ、そんなお知らせ。 取り敢えず… 関係無い態で移動を試みるが… 「兄ちゃん。  ちょっと、来てくれないか?」 あっ、終わった… 「僕ですか?」 一応ね。 「俺達以外で男は君だけなんだがね」 いや、それは言われなくても、分かってます。 「何かご用意ですか?」 僕には無いです。 お金も無いです。 身分証明になる物もホテルの金庫です。 端金しかありません。 まさか、初めて会った人間を売り飛ばしたりは…しないよね。 僕がバリバリに警戒していると… 「何か勘違いしてないかな?  まぁ良いや。  俺達は連れて来いと言われただけだし…  ついて来て貰うよ」 いや、誰… あの危なそうな人かっ! ヤッパリ、ヤバいかもっ!
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