1杯目

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「じゃ」 短い別れの言葉を呟いてパンプスに足を通していると、「ほんとスゲェな」と大輔が笑った。 「何が?」 突然の言葉に大輔を振り返ると、すぐ傍まで大輔の顔が近づいて来ていた。 「ちょっ、コラ」 咄嗟に大輔の顔を押しのけ、睨みつける。 「キスはしないでって、何度言えばわかるの」 「固いこと言うなよ」 肩をすくめて体勢を元に戻す大輔。 行為の際にキスはしない――それがあたしと大輔がこういう関係になった時の約束だった。
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