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「じゃ、ほんとに帰るから」
「はいはい」
小さく手を挙げてから、大輔の部屋を出る。
喉が渇いたからコンビニにでも寄ろうかと、大きな通りを目指して足を動かす。
春が近づいているのだろう、吹く風が暖かい。
「(あ、もうすぐ誕生日だ……)」
ふと思い出された頭の痛くなる事実に、無意識にため息が出る。
広瀬桜、28歳。
もうすぐ29歳になります。
今のあたしは、かつて思い描いていた将来のあたしとはあまりにもかけ離れていた。
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