350人が本棚に入れています
本棚に追加
/33ページ
『わかった……。でも忘れないで。それでも俺は、桜さんが好きだから』
精悍な顔を苦しそうに歪めて微笑んだ健人くんの顔と言葉が、今でも忘れられない。
同じように告白したことがある立場からすれば、健人くんは辛くて仕方なかったと思う。
でもその時のあたしには、健人くんは年下の、弟みたいな男の子という印象しかなかったのだ。
それに、あの時のあたしには、柾紀しか必要なかった。
でも健人くんは、気付いていたんだろう。
柾紀の気持ちがあたしから離れている、と――……。
【あの時】
【もう少し周りを冷静に見れていたら】
【あたしは今、幸せだったかな】
最初のコメントを投稿しよう!