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その時初めてまじまじと見た柾紀の瞳は、どこまでも黒くて、でも澄んでいて。
吸い込まれそうになるほど綺麗な瞳だった。
そして低く甘い、特徴的な声。
その瞳に、あたしの姿を映してほしい。
その声で、あたしの名前を呼んでほしい。
根拠もなく、そう思った。
『あ、あなたの名前も聞いていい?』
『あぁ……』
当時のあたしは、そんな彼に見とれていたせいで相手の名前を聞くのも忘れてしまうくらいだった。
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