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その光景が、今でも鮮明に思い出せる。
その、はずなのに。
「ん、桜さん……。大丈、夫?」
ベッドに横たわるあたしの髪をゆっくりとすきながら、顔を覗き込んでくる健人くん。
「……う、ん。なんとか」
はぁ、と身体にこもる熱を吐息に混ぜて外に逃しつつ、彼の胸に顔を埋める。
「明日…何時ごろ、帰る?」
「……」
そんなあたしを抱きしめて髪に顔を埋め、健人くんがそのまま話をする。
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