かつての恋人たちの溝

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  九鬼さんは苦笑しながら肩を竦め、 会議室のドアをそっと閉める。 眉根を寄せてからじりりと TAKUMIを見た。 「粗相は、彼ですよ」 「え?」 「もう、ヒヤヒヤしましたからね。 サビの歌詞まるっと差し替えてきて。 何と大バカな」 九鬼さんは奥のTAKUMIにも 聞こえるように、大きめの声で言った。 「あれ、カズヤなんか言ったー」 「小細工がしたいなら 僕に話を通してくれと、 始めに言いませんでしたか」 「だって、昨夜急に思いついてさ」 .
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