かつての恋人たちの溝

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  返事をどうしようと考えていると、 後ろからポンと肩を叩かれる。 「志緒ちゃーん、 いないと思ったらこんなとこにいた!」 振り返ると、そこにいたのはKE-TA。 KE-TAの本名は、 蛍太というのだそうだ。 童顔でいつも明るく笑う彼は、 “Raison d'etre”結成時、 まだ10代だったはず。 つまり、歳はあたしと同じくらい。 「あ、KE-TAさん。 すみません、 ちょっと携帯が気になって」 KE-TAは赤い髪をサラサラと 揺らしながら、 あたしの手元を覗き込む。 .
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