かつての恋人たちの溝

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  慌てて駆け寄るあたしに、 煙草を咥えたTAKUMIは 顎でしゃくって車を示す。 するとそこには、 運転手さんが待機している ポルシェ・カイエンが停まっていた。 うわぁ、と思って立ち止まると、 TAKUMIはクッと低く笑う。 「ばぁか、俺のじゃない」 「えっ」 「カズヤのだ」 「……」 ……マネージャーとはいえ、 部長クラスになるとそうなるのか。 そうか。 頑張ってはいるけど、 とても車なんて持つ気になれない 自分の給料明細を思い出し、 げんなりした。 .
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