2. レオンバルトの憂鬱

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   ◇ 「今度は、違う人が来たのね」 まったく、諦めの悪い人たちだこと。 デレラは、大げさにため息をつく。 女性に、こんなリアクションを取られたことのないレオンバルトは、その態度が勘に触った。 「なぜ、私が城の人間だとおわかりに?」 豪奢なマントも、剣も、身に付けてはいない。 わざわざ髪まで黒く染めて訪ねてきたのに。 「私、一度あった人は忘れないの。 変装するなら、その瞳を何とかしないと。 王族の一員だって、宣伝してるのと同じよ」 そう言って、スミレの花を摘んだ。 「かの色は宝玉 昼には花となり 夜には星となる アメジストの煌めきは、 我を捉えて離さない」 歌い終わると、花を差し出す。 「はい、レオンバルトさま。王子のお守りも大変ですね」 クスクス笑って、くるりと回る。
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