1. 王子の憂鬱

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夢のような舞踏会の夜は終わり。 残されたのは、片方のガラスの靴。 「彼女に会いたい」 「彼女は誰なんだ」 「彼女はどこにいるんだ」 王子の思いは切々と募り。 時間がたつほどに、その思いは薄れるどころか、強さを増していく。 日々の鍛練も。 王子としての職務も。 彼女の面影がちらついて。 以前のようには、捗らなかった。 一人物思いに耽り、靴を手にとっては、頬に押し当てる。 これだけが、唯一あの人の残したもの。 招待状を出した家々に、彼女がいないことは調べがついている。 もう、何度目かもわからないため息をついたとき。 見かねた家来の一人が、進言する。
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