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夢のような舞踏会の夜は終わり。
残されたのは、片方のガラスの靴。
「彼女に会いたい」
「彼女は誰なんだ」
「彼女はどこにいるんだ」
王子の思いは切々と募り。
時間がたつほどに、その思いは薄れるどころか、強さを増していく。
日々の鍛練も。
王子としての職務も。
彼女の面影がちらついて。
以前のようには、捗らなかった。
一人物思いに耽り、靴を手にとっては、頬に押し当てる。
これだけが、唯一あの人の残したもの。
招待状を出した家々に、彼女がいないことは調べがついている。
もう、何度目かもわからないため息をついたとき。
見かねた家来の一人が、進言する。
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