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けれども、あえて口を閉ざしたまま、何も告げなかった。
「そうだ!」
何か思い付いたのか、いきなり声をあげる王子。
「最も優秀なる部下にして、我が従兄弟殿」
イヤな予感がして、レオンは顔をひきつらせる。
「ぜひとも、彼女を探しだしてほしい。
ほら、この靴をお前に託す!
大事に扱ってくれよ! 頼んだぞ!!」
満面の笑みで、王子はレオンにガラスの靴を握らせた。
が、レオンは、即王子に靴を返した。
「そんな時間はありません。ただでさえ、最近腑抜けた貴方の後始末に追われて、家に帰る暇もないんですよ?」
「休暇だ。休暇をやる! ついでに、城下を見回って、この靴の持ち主を探してくれ」
再び託される靴。
互いに押し付けあっているうちに、二人の足下へと、靴が落ちてゆき。
派手な音を立てて、砕け散った。
「あああっ!」
悲痛な声をあげて、王子は欠片に手を伸ばす。
「いけません!」
押し止めるレオンバルト。
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