1. 王子の憂鬱

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「レオン、離せっ! 私と彼女を繋ぐ唯一のものなんだっ!」 「手遅れです! それに、例え靴がなかったとしても、私が彼女を見つけてみせます! だから……」 「本当だな?」 しまった。 そう思ったときには、すでに後の祭り。 子犬のように濡れた瞳をきらきら輝かせた王子が、こちらを期待して見上げていた。 なんて切り替わりの早い。 王子の単純さが羨ましくも、恨めしくもなり。 レオンは、自分が敗北したことを悟った。 「休暇は何日いただけるんですか?」 「探し出すまで」 「見つからなければ、私は永遠に城に戻れないということですか?」 「レオンなら大丈夫」 何が大丈夫なんだよ。 心の中で悪態をつきながら、諦めたレオンバルト。 言い出したら聞かないのも。 結局は王子の言うことを聞いてしまう自分の甘さも。 長い経験の中で、いやというほどわかっていた。
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