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「レオン、離せっ! 私と彼女を繋ぐ唯一のものなんだっ!」
「手遅れです! それに、例え靴がなかったとしても、私が彼女を見つけてみせます! だから……」
「本当だな?」
しまった。
そう思ったときには、すでに後の祭り。
子犬のように濡れた瞳をきらきら輝かせた王子が、こちらを期待して見上げていた。
なんて切り替わりの早い。
王子の単純さが羨ましくも、恨めしくもなり。
レオンは、自分が敗北したことを悟った。
「休暇は何日いただけるんですか?」
「探し出すまで」
「見つからなければ、私は永遠に城に戻れないということですか?」
「レオンなら大丈夫」
何が大丈夫なんだよ。
心の中で悪態をつきながら、諦めたレオンバルト。
言い出したら聞かないのも。
結局は王子の言うことを聞いてしまう自分の甘さも。
長い経験の中で、いやというほどわかっていた。
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