2. レオンバルトの憂鬱

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町外れのサーカス劇団。 猛獣使いのデレラ嬢。 一座の花形として活躍中。 レオンバルトは手元の報告書を読んで、一人ため息をついた。 優秀な部下たちは、すでに彼女を見つけ出していたのだ。 ◇ 「良かったあ。この靴、高かったんたよねー!」 恭しく掲げられたガラスの靴をひったくると、呼び止める間もなく駆け出していく。 「ばばさまー! 靴見つかったわよー!」 「お、お待ちください!我々はその靴の持ち主を探しております。持ち去られては困ります!」 慌てた家来たちが、彼女を追いかける。 「えー、これ小道具だし。ほら、これ片方ここにあるでしょ? だから、私の靴なんだし、返してもらうわよ」 「おおっ!ではあなたが先日の姫ですか!」 町中探し回ってへとへとの家来たちは、一気に喜色満面となる。 「ささっ!王子がお待ちです。我らと共に城までお越し下さい」
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