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僕は本を閉じようとした。するとページの隙間から、古くなって黄ばんだ手紙が僕の足元に落ちていた。そのうちの一枚を拾い上げて見ると、女性のものと思わしき、小さく丸みを帯びた文字がびっしり書かれていて、何か悲痛なものを感じさせた。
助けてください。この館に住んでいる男は悪魔です。私達を騙して監禁しています。
助けてください。あの男は私達を毎日強姦し、これ以上はもう耐えられません。これを見て下さった方、どうか警察に連絡をしてください。夕闇2番地の館に女が数人閉じ込められています。
助けてください。異常な男に閉じ込められています。男は毎日、幻覚を見て喚いています。私達を強姦することはなくなりましたが、今度は暴力を振るってきます。
気付いてしまいました。最初から私達を助けるつもりなんてないのでしょう。町の人達は全てを知っていたのですね。あの男の異常さを知っていて、私達を無視しているのですね。
もう耐えられません。あの男を殺します。男は人影が襲って来ると喚き、ずっと錯乱状態です。このままでは私達が殺されてしまう。そうなる前に私達が・・・・。
自白します。男の食事に毒を盛りました。男は食事を口にした途端、口から白い泡を噴きながら死にました。しかしその後で、男の言っていた人影が現れたのです。今度こそ助けてください。黒い人影が私達を追い掛けて来るんです。
ああ、私以外の皆が人影に殺されてしまいました。次は私の番のようです。この手紙を読んでくれようと、くれなかろうと、最早関係ありません。これは私の遺書です。さようなら。もし、これを読んでくれた方がいましたら、どうか、この館を燃やすなりして、この世から抹殺してください。人影にこれ以上殺される人が現れないように。
僕は手紙に全て目を通すと、毛布を頭まで被って布団の中に潜り込んだ。
「はあ・・・・はあ・・・・」
何ということだ。最初に食堂で見た骸骨は、館の持ち主か、ここに閉じ込められていた女性達のものみたいだ。その上、この館にはとんでもない仕掛けがあるみたいだ。
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