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僕は部屋を出ると、慌ただしく廊下を駆けて行った。今、僕の手元には屋敷の設計図がある。先程、本棚から取り出した男の日記には設計図が付いていた。
「この設計図が正しければ」
僕は食堂に入ると、この部屋にあるという秘密の仕掛けを暴くため、隅の骸骨のいる所に来て、壁に手を置いた。壁は異様に柔らかく粘土のようであった。
「掘れるぞ」
僕は犬のように両手で壁を引っ掻いた。すると、壁の表面がいとも簡単に削り取れた。僕はさらに壁を手で掘り進めて行った。
「くそ、暗いな」
僕は食堂の明かりを全部点けて、作業に集中した。しばらく無言で壁を掘っていると、爪の先が何か固いモノに当たった。
「これは・・・・」
僕はその固いモノを手で引っ張った。それは人骨だった。別に驚くことではない。僕はこれを見に来たのだ。やはりこの館には何かがあった。あの館の男は、この人骨なのだろうか。僕はさらに壁を掘ってみた。すると、女性のものと思われる骸骨がいくつも発見された。どうやら、手紙の女性が、ここに埋め込んだみたいだ。
「雄太」
「え、うああああああ」
僕は突然背後から声を掛けられたので、思わず大声を出してしまった。その声に驚いたのか、声の主であるヒカリはその場で尻もちを突いてしまった。
「ちょっと、脅かさないでよ」
「そ、そっちこそ。ああ、びっくりした」
僕は人骨をヒカリに見せて、自分の調べ上げた館のことをヒカリに話した。彼女はしばらく黙り込んでいたが、やがてゆっくりと口を開いた。
「ねえ、それを調べて何になるの?」
「え、何になるって?」
「だから、どうせ明日にはここから出るのよ。館の秘密を暴いたって意味は・・・・」
「意味はあるさ。君は知らないだろうが、僕はずっと雨ガッパに狙われているんだ。そいつの正体を知るには、この館について知っておく必要がある」
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