現実

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「お客様も喫煙席ご希望ですか?」 「はい」 ヒロミが返事をすると、店員の女の子の視線が今度は私に戻ってくる。 「お客様・・えっと、ただいま混雑しておりまして、喫煙席が1テーブルしか空いてないんです・・。その、お知り合いでしたら相席お願いできませんか?」 困ったように私、ヒロミ、と順番に視線を動かす店員の女の子。 私は思わずため息をはいた。 「2人で大丈夫です・・・」 「あ、ありがとうございます!ご案内いたします!」 笑顔に戻った店員の女の子が歩き出し、そのあとをついていく私。 その私の後をヒロミが歩いている。 奥のほうにある喫煙席は確かに混雑していた。今日は土曜日だから混んでてあたりまえか・・・。 案内されたテーブルに座ると、目の前にヒロミも座る。 私はすぐにメニューを開いてヒロミの視線から逃げる。 でも、ヒロミが私を見ていることはメニュー越しでもわかる。
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