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「ひさしぶり」
「ひさしぶり」
「今日、お姉さんに会って聞いたけど本当に元気みたいだね」
「おかげさまで」
「おなかすいてる?」
「まぁね」
ヒロミの問いかけに淡々と答える私。
すると、突然メニューの上に手が添えられる。
あっと思ったときにはヒロミがメニューを自分のほうに引っ張っていた。
私の手から離れてテーブルにパタンと落ちるメニュー。
消えたメニューの向こうにはヒロミの真剣な顔があった。
「俺のこと避けてる?」
やっぱり気付かれてた・・・。
このまま視線を逸らせば肯定したように見える。
絶対、逸らすな・・・と心の中で唱え、私はヒロミを見つめ返した。
「何でそう思うの?」
「ぜんぜんベランダに出てこないから。体調でも悪いのかと思ったけど、そうじゃないみたいだし。・・・・キスしたの怒ってる?」
『キス』という単語に心臓が強く脈打つ。
それでも私は平静を保とうと必死になる。
必死になってるのに心臓は一層早く脈を打ちだし、いつの間にか渇いた口から言葉を出そうと躍起になった。
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