現実

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「べ、別に・・怒ってないし」 ようやく絞り出した声は掠れていて、私はテーブルの下で自分の手を強く握った。 「なら、恋人じゃないのにキスしたから気まずい?でも、拒否することもできただろ?最初のは不意打ちだからしょうがない。謝るよ。でも、最終的に受け入れたのはイツキだろ。それに、酔ったらどうする?って聞いたのに」 ヒロミは自分は正当だと言わんばかりにまくし立てる。 あの夜のことを思い出せば、ヒロミは言っていたのだ。 何をしても酔ってるせい、だと。 私はそれをちゃんと聞いて、それでもヒロミのキスを受け入れたのだ。 自業自得だ。 「ほんとに腹立つ」 テーブルの下でヒロミの足をおもいっきり踏んでやろうと思ったけど、それを見透かしたヒロミに避けられて余計に腹立たしい。 「もういいわ・・・なんか疲れた」 キスしてもヒロミはいつも通りすぎて、逆にこんなに腹を立てているのがどうでもよくなった。 私はため息を吐いて、テーブルに置いたままになっていたメニューを見る。
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