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「10分くらい待ってて、ユキミちゃん。
ぼく、まだ出先で、ユキミちゃんちすぐ行けるから!行くから!」
「え?」
そう言って、電話越しの反応がなくなった。
想定外のエイジの行動に、ユキミは思わず驚く。
情けないエイジのことだから、彼はどうしようとうろたえて、警察を呼ぶことを提案するかと思っていた。
それなのに、来てくれるとは。
「ねぇ、丸谷さん。開けてよ。お話がしたいんだ」
高崎のピンポン攻撃はなおも続く。
その音に耳をふさぎながら、「もしもし」と、電話先のエイジを呼ぶばかりだった。
彼は「待ってて。待っててね」と、息を切らしながら、たまに返事が来る適度だった。
ただ、懸念材料はもう一つある。
エイジは身長はそこそこにあるものの、ひょろっとしている。
一方、高崎は、猫背な体をまっすぐ伸ばせば、180センチ以上はありそうな巨漢だ。
横幅も割とあり、しっかりとした体格をしている。
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