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二十八。
そろそろ女として、イタイ年齢になってきた。
そんな自覚に思わず嘆息し、長い髪をきれいに巻いた彼女・丸谷ユキミは、少しほほ笑んで手をふり返した。
就職人気の上場企業に入社して丸6年。同期の男どもに負けないくらい、いや、それ以上に努力して、異例の人事異動に周りを騒がせたのは、少し前の話しだ。
仕事は、結構楽しんでいる。今回も大きなプロジェクトのリーダーを任され、昼夜奔走する日々だ。
同期入社の女の子たちが次々と寿退社や産休でキャリアから離れていく中、バリキャリを貫き通した自分に、後悔なんて微塵もしていなかった。
むしろ、誇らしいとも自負していた。
恋愛とか結婚とか、そんな浮かれた人生より、仕事やお金、一人の時間を取る女がいても、おかしくないじゃないか。
そう自分に言い聞かせ、自宅と会社とコンビニ、時折書店やレンタルショップを行き来だけの、そんな日々を送っていたのだった。
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