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付き合うにあたり、ユキミは、ある条件をエイジにつきつけた。
話は2か月前にさかのぼる。
「あのね、エイジくん」
「なんすか」
「わたしと付き合いたいなら、お願いがあるんだ」
「お願い?金目のもの以外だったら、なんでもいっすよ」
「まず、呼び方。ユキミさん、じゃなくって、ユキミちゃん、って呼んで」
「呼び方?は、はい。じゃあ、ユキミちゃんで」
「あと、言葉遣いも。年上だからっていっても、敬語はやめてほしい」
「あー、はい!じゃなくってぇ、うん、りょうかい」
「あと、服装なんだけど。
わたし、あなたに、たくさん洋服とかを買うわ。
だから、会うときはそれを着てほしい」
「マジ?それ、むしろ助かる!ありがとユキミちゃん!」
「最後に。
ちゃんと、しないでほしい。
ぐうたらに日々をすごして、プライドなんて気にしなくて、仕事なんか真面目じゃなくって、わたしが呼んだら、いつでも来てくれるような。
デート代は全部わたしが出すから、お金も全然なくていい。
でも、わたしだけを見ていて」
「あはは、それは問題ないかな!
むしろそんなにちゃらんぽらんでいいの?
そんなこと言ったら、一層調子乗っちゃうけど?」
「大歓迎だわ」
「ユキミちゃん、変なの。
でもま、わかった。じゃあバカでいる」
こんなやり取りの上で、2人は、付き合うことになったのだった。
エイジに、理想の彼氏を演じさせること。
それが、ユキミにとって、非常に面白いゲームとなったのだった。
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