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それから2か月。
ユキミの理想の恋人としてのエイジの成長はすさまじかった。
日に日に堕落し、ユキミに依存する彼を見て、楽しむ。
最低な女だとは感じていたものの、そんな哀れなエイジがもの新しくって、かわいくって、しょうがなかった。
「そうそ、ユキミちゃん。
あのね、この前のアルバイト、また辞めちゃった。
だって、チーフがマジむかつくんだもん。急にどなったりしてさぁ。
あんなとこおれのいるとこじゃねぇって思ったらもう辞めますって言っちゃってたんだよねぇ。
今のところユキミちゃんのおかげで、生活に困ることないし」
「へぇ、そうなんだ。
初めて会ったときに面接受けてたとこだっけ」
「そうそう、そこ。またバイト探さなきゃあ」
「別に働かなくてもいいんじゃない?
いよいよ家賃に困ったら、うちに来てもいいのに」
「うわぁ、ユキミちゃんまじで天使だわぁ。おれ泣きそう」
「あ、あのさエイジくん。
おれじゃなくって、ぼくってどう?」
「ぼく?あぁ、いいよ。
じゃあこれから、自分のことぼくっていうね」
そうやって、日に日に自分好みになっていくエイジ。
ユキミのいうことは否定せず、絶対に同意してくれるエイジ。
恋人をカスタムできる幸せに、ユキミは溺れていた。
その日は、エイジの新しい洋服を買って、夕飯をおごり、タクシーでエイジを送った後、帰途についた。
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