なぽりたん物語

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そうなのだ。2個ちがいにも関わらず、彼の記憶が小学校で止まっているのは、 わたしが中学受験をして、朝は早く帰りは遅い遠い私立中学入試通ってしまっていたからだった。 わたしが「そうだね」と相槌をうつと、彼は続ける。 「紗希ちゃんが卒業しちゃった時も悲しくて、でも中学で会えるんだって楽しみにして山中に行ったのに…。 あのときほんとにガッカリしたんだよ、うちの親も教えてくれなくてさぁ」 「あぁ、ごめんごめん」 そう適当に相槌をうちながらも、やっぱりいくらはるくんでも、すっかり男のひとになってしまっている彼に言われるとドキドキしてしまう。 落ち着け私。 そのエピソードは中学のはるくんで、そんな中学生のはるくんが憧れていたのは、小学校の私なのだ。 わたしは年上らしくいつもの調子を取り戻すと、メニューをめくった。 「はるくん、おすすめは?」 「ぼくなら絶対ランチセットのナポリタンだな。味は保証するよ」 「じゃあそれで」 「了解!」 そう言って厨房に消えていく彼の背中を見て、広くなったなぁとしみじみ思う。 彼は今、なにをしているんだろう。歳は、多分18歳で、大学に行ってたら一年生だ。 わたしの知ってる彼は9歳で止まっているから…もう9年も経っているのか。 そう思うと、あの変わりぶりもふしぎではないと思った。
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