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ピーピーピー!
けたたましく携帯のアラームが鳴り、自宅の布団の中で俺は目を覚ました。
ーーああ…もう朝かよ?……
もうすっかり秋だ。
こないだまでクーラーが欠かせなかったのに、今は少し肌寒い。
着古した黒いTシャツに霜降りグレーのスェットズボン。
カーテンの隙間から見える窓の外はまだ夜だ。
ーーまた、今日が始まる…
いつもは、ため息をついてから出掛ける準備に取り掛かるのだが、今日は違う。
テーブルの上の6枚切りの食パンを1枚取り出し、ブルーベリーのジャムを塗る。牛乳をコップに次ぐ。
それが俺の朝食。
シャワーを浴び、電気シェーバーで、ひげを剃る。
お気に入りの細かな青いストライプのYシャツとそれに良く合う同系色のネクタイを締める。
25年以上前、昔の俺はアイビー青年だった。
でも、今は営業を生業とする身。
清潔感第一を心掛けている。
(次には、真面目で誠実な印象を与えること!)
朝食からずっと立ったまま、すべての動作を静かに速やかに行う。
寝ている家族を起こさないようにする為に。
それぞれの生活のリズムを壊さないようにする。それがこの家のルールだ。
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