45歳 高波営業所長のsecret

4/10
前へ
/118ページ
次へ
この味気ない事務所に通うのは、俺の他に、定年間近のジジイと25歳若造の営業マン2人。 出世とは無縁の、鼻くそほじって、スポーツ新聞広げてるような奴らだ。 基本外回りの仕事だから、1日奴らと鼻を突き合わせているようなことはない。 それに、俺はここで一番エライのだ。 すぐに楽しむ術を見つけた。 事務所の奥には、もう1つ小さな部屋があった。そこは物置になっていたのだが、所長の特権を生かし、俺はそこに20インチのテレビ、パイプベッド、ポータブルの冷蔵庫を置いた。 そして、部下達にも残業で終電を逃してしまった時など、ホテル代わりに利用してもいいことにした。 営業マンはすべて客次第。先方に時間を合わせなければならない。 俺の許可を取れば、日中、時間調整に事務所に戻り、ベッドに横になってテレビを眺めることも可能。 但し、サボり癖が付いて、仕事に支障が出てはまずいから、その部屋の鍵は所長が管理する。 所長………つまり、俺(ニンマリ) 俺は、隠し部屋を手に入れたのだ! 異動を告げられた時は、ショックだったけれど。(年甲斐もなく、部長の机に辞表を叩きつけてやろうとマジで思った) 老害を巻き散らかすおエライさんの機嫌を取る必要もなく、マイペースに仕事をこなせば良いこと気が付くと、意外にそう悪くないと思えるようになった。
/118ページ

最初のコメントを投稿しよう!

48人が本棚に入れています
本棚に追加