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「すみません・・・
県庁までお願いします・・・」
小さくなって言う私に、
運転手さんは
「はいはい。県庁まで、
急いで、だね。」
穏やかに言って発進した。
あまりの恥ずかしさに、
行き先を告げてから無言の私。
気を遣ってか、
運転手さんがそっと話しかけて
くる。
「県庁まで急いでって、
なんかあるのかね？」
あるも何も・・・
「私、今日から中学校の教員になるんです。辞令が出るとかで、
県庁に行かなくちゃならなくて。」
「へぇー、そりゃおめでとう。
だけど、こう言っちゃなんだが
そんな大事な日に
あんなに慌てる程ギリギリで行動してるなんて、
寝坊でもしたのかい。」
「ち、違いますよ！！
今朝は４時に起きて準備して、
6時には家を出たんです！」
「随分と早起きだな。
じゃあ電車かバスで寝過ごしたかな？」
寝過ごしてなんかないです・・・
計画通りに一日は始まって
いたんです・・・
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