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「くぁあ……ふぅ」
欠伸をして涙目になり、目元に隈を作る今日からピカピカの高校1年生になる15歳の少女。
肩甲骨まである長い髪はボサボサで整えることはなく、やや猫背で革靴で歩く速度はノロい。
夕霧 蒼葉(ゆうぎり あおは)はコンビニで買ったお茶を口に含むと、バックにしまい込む。
「ねんむい……」
彼女がこうまで眠気を残しているのは全クリしていたギャルゲーをやり始め、眠りについたのは午前3時。
言い訳のしようがない程に愚かである。
しかし、本日は入学式であり学校まで時間は余裕たっぷりであるところを見ると、遅刻をよくするタイプではないだろう。
「もっと早く寝ればよかったなー」
学校に近付く程に入学式に行くであろう1年生がちらほら見え始める。
「でも、かわいい女の子が集まる学校生活を妄想すれば目が覚めるよ」
再確認しておくが“彼女”は生物学的に見れば“女”であり決して男ではない。
「可愛い女の子とにゃんにゃんする日々!燃える!」
涎を口の端に垂らす蒼葉。髪はボサボサ、目元に隈、怪しい笑み、涎を垂らす口。
化け物以外の何者でもない。
丁度、カーブミラーに写った自分の姿を見て吐き気をもよおしたのは、自業自得だろう。
「朝からなんてものを見ちゃったんだろ………」
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