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プロローグ
「なんだ……"また"お前かよ。」
始めて遭遇したはずの絶体絶命の境遇なのに、
なぜか目の前でやけに楽しそうな顔をしている僕の友人はそう言った。
火災で燃えさかるショッピングセンター。
逃げ遅れた人々が逃げ惑う阿鼻叫喚の地獄絵図。
もし今僕が眠って夢を見ている訳でなければ、
これが今現実に起こっている事だった。
そしてもう一つの信じがたい現実が僕の目には写っている。
それこそが逃げ遅れた人々をなぜか"楽しそうに"救助している、
目の前の友人を始めとした謎の少年少女達だ。
こんな考えられないような状況なのに、
どうしてこいつはこんなに楽しそうなんだ?
それに見たところ服装も消防じゃないし、
第一僕と同い年の彼が消防なんかをやっている訳もこんな所にいる訳も無い。
「相変わらずお前はこの状況に巻き込まれると毎回俺達を警戒するよな。」
的確に、
そしてやはり楽しそうに僕の今の心境を当ててくる目の前の友人。
この状況で警戒しない人の方が珍しいとは思うけど……この違和感はなんなんだろうか。
「つっても、
お前は前回の事も前々回の事もその前の事も知らないだろうね。
それにたった今この瞬間の事も、
次の瞬間には知らない事になってるんだろうけどさ。」
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