日常と非日常の境目にて

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加賀 照良 "まもなくザマ" 僕が産まれてちょっとした頃までは、 この"ザマ"という僕の住む街の地名も漢字で"座間"と書き表していたらしい。 それが僕が産まれてからほんの数ヵ月たった1995年の半ばに、 「海外の人々にとって中国や朝鮮を始めとした他国の地名との区別がつきやすい様に」 という理由で、 この国ニッポンの地名については全てカタカナで表記する事が決まったんだとか。 ちなみに同時期に人名も漢字ではなくカタカナで表記しようと言う案があったらしいが、 人の名前に込められる意味を大切にしようという世論からこれは未だに施行されないままでいるらしい。 電車に揺られ吊革を緩く握って電光掲示板をぼんやり眺めながら、 そんな別に今考えるようでも無い事を考えている中学二年生の少年こそが僕こと加賀 照良(カガ テルヨシ)だった。 電光掲示板から窓の外の夕暮れの住宅街へ、 そして夕暮れの住宅街から窓ガラスに写った自分の姿へと視線を移して見ると見慣れた僕の姿が視界に入る。 年の割りには幼い顔つきで身長も低いためか、 嘆かわしい事に周りからは小学生高学年にしか見られていないようだ。 その上特に髪型なんかもいじってなんかいないし、 すこしポッチャリ気味のこの体型とほんの少し白めの肌が更にその状況加速させているらしい。 まぁ、 だからと言って何か不自由したりしてる訳じゃ無いから別に良いんだけどさ。
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