第1話

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「あの、 すみません。」「えっと、なんでですかね?」 「え?なにがですか?」 私のおどおどとした振る舞いに女性は明らかにイライラしている。 僕は冷静に説明しようと、 不動産屋さんで契約したことを話し、 契約書も女性に見せた。 僕も女性から契約書をみせてもらった。 お互いの契約書には同じマンション、 住所、 号室がしかりと記入されていた。 貸主(家主)名も全く一緒の人。 結果からいうと完全に二重契約となっていた。 なぜか。 僕は不動産屋さんを介し、 この物件を契約した。 女性は直接ここのマンションの家主さんと契約を結んでいる。 マンションにはいろいろな仲介不動産会社の看板と、 ここのマンションの家主さんの電話番号の入った看板も貼ってある。 女性は看板を見て直接家主さんに電話を入れ、 家主さんと直接契約した。
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