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オ・ランドの輝くような女子声に、電話の向こうの声、女性の声は、少し戸惑いながらも、喋り始めた。
『どんな奴でも、殺してもらえるんでしょうか?』
ずいぶん深刻な声である。
オ・ランドは、
「ご安心ください。
今まで、国家首脳や裏組織のボスなど、様々な大物もターゲットにしてきております」
成功したことはないけどね。
『そうですか……。
実は、最近ちょこちょこと現れるようになった奴なんですが、本当に怖くて、私、どうしたらいいのかわからなくて……』
ストーカー系か、と、オ・ランドは理解した。
「なるほど。
その相手の特徴などは、どんな感じですか?」
『特徴……。
そうですね、なにせ黒ずくめで、でもあの、すごくギトギトして不潔な感じなんです。
本当に気味悪くて……』
中年オヤジのストーカーらしい。
『おまけにやたら素早くて』
アスリート系オヤジストーカー?
「大丈夫ですよ、ご安心ください」
オ・ランドの一言で、電話の向こうの女性はずいぶん安心した様子だった。
『そうですか、良かった……。
私本当にゴキブリがキライで』
「他を当たりな」
ガチャン!
今日も静かに夜が更けていく。
了
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