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アポは11時である。
彼らが集合したのはなぜか8時。
早起きなのだ。
しかし八丁モートは普通の公務員なので、今日は仕事があるはずだ。
「今日俺は風邪引いたんだよ」
「そうまでして営業のねーちゃんに会いたかったのかい?」
「うるせぇ、こっちは普段肩身の狭い思いをしてるんだっ」
モートの家は、姑と嫁、そしてモートの3人暮らしである。
姑には日々チクチク色々言われている。
たまにはよその別品さんと会ってみたい。
切実だった。
そして、11時になった。
インターホンが鳴る。
モートは足取り軽く入り口へ行き、満面の笑みでドアを開ける。
「はい、どうぞ!」
サイみたいな女だった。
モートは無言で扉を閉めようとした。
が、サイはすでに扉をつかみ、万力のような力で扉を開き、凶悪な笑みを浮かべて部屋に押し入ってきた。
「お世話になります、本日11時より、モート代表とお約束いただいておりました、株式会社ヒトウールの佐藤すみれと申しますが、代表のモート様はいらっしゃいますか?」
「そんな奴はおらん、帰ってくれ!」
「おねえさん、そいつが八丁モートだよ」
すかさずオ・ランドが口をはさむ。
「失礼しました、モート代表でいらっしゃいますね」
サイ女はニタリと笑った。
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