ラストニードルズ

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 声だけ聞くと、実に明るく爽やかで、いかにも美人である。 テレフォンアポインターとしては、一流だろう。  しかし、びっくりするほどブサイクだった。  解説しよう。  まず、サイのようにいかつい。 その様はまるでいくさ人だ。 武力90前後と見た。 そして、隈取りのような化粧。 目つきは般若のそれだ。 ポンパドールの髪がサイの角を思わせる。 スーツは真っ白で、とても派手で、ムキムキの体にぴちっとフィットしている。 ちょっと力を込めたらビリビリーッと破れそうだ。 眠れない夜に、フッとこの顔を思い出したら、ゾーッとなるだろう。 骨太で、あぶらぎっていて、血生臭い。 「八丁モート、レディを立たせておくのも無粋だ。  佐藤どの、こちらへ」  イケメンのエクセルが声をかけ、モートは実に不本意な顔で、サイを応接セットに案内した。 「で?  俺たちゃ仕事もねぇんだ。  人なんざいらねぇ」 「そうですか、それはお困りでしょう。  では早速ですが、いくつかお話しを伺わせてください。  まず御社の業種は、どういったものになりますか?」  サイはできるビジネスウーマンの素敵な声で、モートの言葉を無視して質問してきた。
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