俺の彼女は***【***】

Ⅲ．その温もり

逸らされた瞳。

俯いた彼女の髪がサラサラと揺れる。

甘い香りに誘われるように視線を落とせば。

柔らかな髪の隙間から見える耳が真っ赤になってることに気がついた。

シーンとした教室がさらに緊張を煽って。

小さく深呼吸をして、その緊張を振り払おうとしても意味がないらしい。

震えてしまいそうな手を、ギュッと握って。

「それは無理。みんな俺の誕生日知らないから」

その言葉に、『えっ…』と彼女の肩が微かに揺れた。

「また二人の秘密が一つ増えたね」

わざとらしい笑みを作って、彼女の瞳を真っ直ぐに見つめる。

「比奈ちゃんにお祝いしてもらいたいんだ」

自分で言ってて、背中が痒くなりそうな言葉。

よくもまあ、そんな言葉を顔色一つ変えずに言えたもんだ。