Ⅲ.その温もり

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驚いてるのは俺だけじゃなくて、彼女も同じようで。 さっきまで隠してたはずの真っ赤な顔は、今はそのまま俺を見上げてて。 この身長差だと、どうしても上目遣いになってしまうらしい。 そんな瞳で見つめられたら。 抑えてるはずの気持ちが溢れてきてしまう。 その小さな身体を抱きしめたくなってしまう。 「比奈ちゃんがいい」 本当は無理やりとか考えてなかったんだけど。 やっぱり、どうしても比奈と今日を過ごしたい。 その潤んだ瞳とか、熱を持つ頬とか。 俺のこと嫌ってたら、そんな顔しないだろ? そう思ったら、俺の手は彼女の腕を掴んでいた。
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