第3話 百二十七億光年の彼方へ

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´ 「どこがって……」  キーコとアニーは顔を見合わせて、 キーコは、ハッと眼を円くしました。 アニーも釣られて眼を円くしました。  そんな二人は、朝食を美味しそうに頂くディダムを、改めて眺め直したのでした。 「ディダム……さん あなた女性になってるって……それご存知?」  ディダムは、小さな箸とお茶碗を置くと、 『キーコさんにアニーさん、惚けた振りをしてごめんなさい』 ペコリと頭を下げました。 「影うさぎは、子を宿すと女性に戻る…… この話しはあなたから伺ったお話よ、ディダムさん」 「僕もそう聞いたよディダム……さん」 『おふたがたの仰有る通りですわ…… わたくし、懐妊致しました』 「誰の子を!」  キーコとアニーは口を揃えて尋ねるのでした。 「まさか……」  これも揃って出ていました。 『その、まさかですわよ。 キュリオシティの子を宿しました』 「ちょっとぉ、相手は機械だよ」 「キーコ、影うさぎは肉体の交わり無しに、想い詰めたら赤ちゃんが授かるんだよ。 凄いよ! まるでマリア様みたいだね……アハハ」 「それはそうだけどさ…… 日本の女性のはずじゃなかったの?」 「流暢(りゅうちょう)な日本語を喋ってたよ、キュリオシティは」 「そうだったけどね…… ま、取り敢えず……おめでとうディダム」  キーコとアニーは不思議そうな表情を浮かべながら、祝福致しました。 『ありがとう、キーコさんにアニーさん。 とっても幸せな気分だわ、わたし』 「幸せの気分は良いけど、 あなたの子は、あなたのお腹を突き破って産まれるんでしょう」 「そうなると……ディダムさん、あなたは死んじゃうの?」 ´
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