続・百二十七億光年の彼方へ……

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´  ディダムは落ち着いて、茶(ティー)をゆっくりと飲み終えると……。 『キーコさん、とても美味しいでしたわよ。ご馳走さまでした。 え、私が出産する際、死ぬのか? ですって』 「そうですよ」  キーコとアニーは息を呑んで、ディダムの次の言葉を待ちました。 『出産する時に…… 私の子は、私のお腹を突き破って産まれて来ることでしょう。   私がそうしたようにね』 「ぁぁ………」 『影うさぎの出産に、他の生き物が立ち会うことは出来ません』 「そうなの………」 『でも、アンドロイドなら、生き物ではありませんから…… 立ち会うことが出来ます』 「出来ても同じじゃないの……立ち会うだけでは?」  キーコは真剣な眼差しで首を傾げて、ディダムに問いました。 「そうだよ、キーコの言う通りだよ、ディダムさん」 『同じではありません。 私のお腹を切らせますから』 「えっ、アンドロイドにですか?」  傾げていたキーコの首が元に戻りました。 『昨日……そんな事を話し合いながら…… 私は、キュリオシティを破壊しました。 もし……アンドロイドへの移し替えが失敗したなら…… それは……キュリオシティの死を意味しますからね』  と言って、 ディダムは、集積回路の納まった小瓶を口から取り出して、キーコに差し出しました。 『これが……私と愛を誓い合ったキュリオシティの魂ですわ』 「わ、分かった…… 分かりましたから、魂を早く納めて下さい」 『そうですか…… アニーさん、これがキュリオシティの魂ですのよ、ほらほらっ』 「あぁっ、ディダムさん止めて下さい! 腰が抜けるじゃ~~……抜けましたぁ」  驚いたアニーはその場にへたり込んでしまいました。 `
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