5人が本棚に入れています
本棚に追加
俺は夢を見ることがないから、夢でうなされるというのがどんな感覚なのかよく解らないけど、目覚めは悪いんだろうな、と思う。
乙いわく、夢を見るのは眠りが浅い証拠、らしいから。
そして何より、夢を見続ける限り守は前進することができないから。
「コオウミチルを知ってお前どうすんの?」
合宿の日、守は流さんに『満流を教えてやる』と言われたらしい。
そのために”何か”を探さなければならない。
探すのを手伝え、と、軽い口調で言われた。
「執着、してんの?メグムに。
今まで、告られても即拒否するか、
すぐ手出して相手泣かせるかだったのに」
生まれてこの方、サッカー以外には決して本気にならなかった守。
一流がいつだって一番に敬い、何よりも優先してきた人物。
彼がサッカー以外のことに興味を示すことは、一流に、どんな影響を与えるのだろうか。
俺が眠そうな横顔を覗き込むと、「気持ち悪い」と言って押しのけられた。
「人を最低みたいに言うなよ。
……別に、執着してるわけじゃねぇ。
あいつがどんな人生送ってきたのか、
ちょっと気になるだけ」
「それを世間一般では【執着】
って言うんじゃねぇの?
それから守は実際最低だよ、
何言ってんだ」
「知らね。そうなの?」
少し驚いたのか、軽く見開かれた目。
鈍いって、恋愛に疎いって、こういうことを言うんだろう。
最初のコメントを投稿しよう!