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咄嗟に下を向き、顔を隠そうとするメグムを見た守が『メグム。遠い親戚で、なんか突然来たんだ』と適当な法螺を吐いた。
声の主は、ふうん、と頷く。
『じゃあ俺、渚と大介くん待って帰ろうか』
めぐむちゃん、楽しんでな。
メグムが顔を上げたとき、彼は彼女に背を向け、丁度走りだす所だった。
メグムと変わらないくらいか、少し低いくらいの身長、変声期前の嗄れた声。
顔は見なくて正解だっただろう。
背中を見つめる彼女に、守は苦笑気味に声を掛けた。
『俺よかあいつのがダンゼンいい奴だぞ?』
『い…いーの!
あの時のあのタイミングで
あたしに話し掛けたのはマモルなんだから』
それに、あたしが待ってるからって、早く戻ってきてくれたじゃん。
振り向く笑顔が妙に切ない。
守はどうするべきか迷い、結局何もすることなくただ隣を歩いた。
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