第1章

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バスが何台か大介たちを追い越して行ったが、二人は徒歩で家路をたどった。 渚や一流が聞くべき話なのか、大介には ――いや、守自身にすら判らないからだ。 「その時俺がメグムの正体を知ってたら、  一流にとって、また、  違う未来があったんだと思う」 でも、知らなかったから。 苦しそうな守の目に、大介はふと疑問を抱く。 「一流の?」 一流とメグムの関係など、それまで聞いたこともない。 「そういえば、守は昔からやたらと  イツとメグムを遠ざけようとするよな」 そういえばそう、風雲児杯の時の約束からずっと。  一流と渚にメグムを合わせない。  一流と渚にメグムを意識させない。  メグム、イコール、小桜満流だと認識させない。 そこまで思い出して、はっとした。 守は足を止めない。 少し後ろで止まった大介を振り返ることもしなかった。 信号が赤に変わり、ようやく彼は振り向いて目を合わせる。 「妹だかんな。一流の」 吸い込まれるようなまっすぐな瞳と、やけに鮮明に響いた彼の声。 背中に汗が流れる。
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