第1章

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「呼び出し、時間かかんの?」 ポジションの話や、これからの練習について。 試合に出る人間と出ない人間では、扱いも何もかも違うものだ。 初めての試合。 監督にしてみれば、話しておきたいことも多いだろう。 それを小出しにするか、一気に話すかは人それぞれだが。 「かかるだろうな。  あの監督基本的に話長えから。  先帰るって言ってある」 「うぃ、さっさと着替えてきて」 「うたた寝すんなよ」 「わかってるって」 どれだけ信用してないのか、クラブハウスの階段をのぼりながら何度も寝ないように念押しされた。 部室のドアが閉まる音が頭上でして、ため息をついて散らかった衣類をまとめて鞄に突っ込む。 湿気た土のにおいがした。 雨、か? 空を見上げてみるが、今のところ雲行きが怪しいということはない。 それでも一応、部室から誰のものともつかない置き傘を一つとって鞄にぶら下げた。 携帯を開くと、一流を含む数人からメールが来ている。 適当に読み飛ばして、適当に返信をした。
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